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【活動報告】「ワークショップ:思考し表現する学生を育てる―書くことをどう指導し、評価するか?Ⅲ―」(2011年1月8日(土)開催)

 FD連携企画ワーキンググループでは、2011年1月8日(土)に京都大学吉田キャンパスおいて、第6回関西地区FD連絡協議会主催イベント「ワークショップ:思考し表現する学生を育てる―書くことをどう指導し、評価するか?Ⅲ―」を開催した(共催:京都大学高等教育研究開発推進センター)。本WGでは、昨年度好評を博した形式―講演とワークショップ―で開催された。以下に、このワークショップのプログラム、当日の状況、アンケート結果を報告する。

◇プログラム

13:00〜13:10 開会あいさつ
田中 毎実(京都大学高等教育研究開発推進センター教授)
13:10〜14:10 講演
「学生の潜在能力と対話型教育―卒論・ゼミ指導の9年間の実践から―」
北野収(獨協大学外国語学部教授)
14:10〜14:40 事例紹介
「"十字モデル"を使った試み」
須長 一幸(関西大学教育推進部助教)
齊尾 恭子(関西大学教育推進部教育開発支援センター研究員)
15:00〜16:30 グループワーク
16:40〜18:00  全体討論 

◇当日の状況

 参加者は会員校から38名、非会員校から13名の計51名であった。中には東京や福岡など遠方からの参加者も少なからずあった。本テーマへの関心の深さがうかがわれる。
第Ⅰ部では、松下佳代(京都大学、本WG)による司会のもと、小講演と事例紹介が行われた。獨協大学外国語学部教授の北野収氏による小講演「学生の潜在能力と対話型教育―卒論・ゼミ指導の9年間の実践から―」では、北野氏の前任校である日本大学における3・4年生2年間の卒論指導の教育実践報告があった。この実践報告では、学生との、またゼミ内での学生同士の関係性の築き方、興味の引き出し方、そこからテーマ・問題設定へのつなぎ方、そして実際の執筆の際の指導の仕方、などが紹介された。中堅私大という背景、また、就職活動が厳しく学生の積極的参加を促すことが難しい状況の中、時間をかけた丁寧な面接とサポートにより学生自身の問題意識に基づく、頑張ることのできるテーマを選ぶことで学生のモチベーションを上げていくという氏の実践は、認知的・感情的に支援することの重要性と、協調学習がそれらを促進する可能性について示唆の多いものであった。
続いて、関西大学の須長一幸氏、齊尾恭子氏による事例紹介「"十字モデル"を使った試み」では、同大学のアカデミック・ライティングの授業で使われている、総合情報学部牧野由香里氏の開発した"十字モデル"を使った指導法が紹介された。この実践は、多くの学生がつまずく文章を書く前の作業(問題設定、論理構成など)に時間をかけた指導法であり、図を用いた具体的な指導法の紹介は参加者に直接的に役立つものとなった。質疑応答では、3人の講演者に活発な質問が投げかけられた。

石川(京都大学、本WG)によってグループワークの進め方についての説明がなされた後、第Ⅱ部に入った。第Ⅱ部では、参加者が3つの教室、あわせて9つのグループに分かれてグループワークがおこなわれた。(グループ分けは関心テーマをもとに行われた。)グループワークは、持参した資料にもとづいて各自が自身の実践を紹介し、それをグループで共有し議論した。また、議論した結果を90cm×120cmのポータブルなホワイトボードにまとめてもらった。

続く第Ⅲ部の全体討論においては、安岡高志氏(立命館大学、本WG)による司会のもと、各グループで議論した論点がホワイトボードを用いながら報告され、これをふまえ参加者全員による全体討論がおこなわれた。9グループから出された論点は、「書くことの指導と評価」という一つのテーマながら具体的な問題に対する形で多岐に渡った。主なものとしては、初年次学生への指導方法をどうすべきか、論理的思考と書くことをどうつなげて指導するか、テーマ設定をできない学生にどう指導するのか、人数授業でどう指導するのか、学習集団をどう構成するのか、推敲力をどう育てるのか、それらの評価はどう行うのか、などである。

討論では、とりわけテーマ設定と書き方の枠組みについて、つまり「What とHowの関係」について話題となったが、これは昨年も大きな議論となった点であり、指導上多くの教員が抱える疑問点である。討論ではまた、こうした指導する側をどう組織していくのか、という点にも話題が発展し、専門科目の中で教員が指導する必要性への言及からFDをどう組織して行くかという点にまで議論が及んだ。 最後に、司会の安岡氏より締めくくりとしてコメントが行われた。テーマを枠にはめるのか、あるいは書き方を枠にはめるかどうかという点について、最初に枠にはめられると窮屈に学生は思うだろうが、そのうちその枠により守られているこということが感じられるようになるのではないか、という指摘がなされた。テーマ設定については、学生のオリジナルな発想に価値付けすることにより、やる気を引き出し自信を持たせることが重要なのではということが強調された。

◇アンケート結果

 「ワークショップ全体への参加満足度」「プログラムの有意義度(講演・事例紹介・グループワークそれぞれについて)」について5件法(1:まったく満足していない/有意義ではなかった〜5:非常に満足している・有意義だった)によりたずねたところ、それぞれの評定平均は4.4、4.4、4.5、4.4であった(回答者39名)。全体的に参加者の満足度は高く、各プログラムの内容も有意義であったとの評価が得られた。  ワークショップに満足した理由をたずねたところ、「他大学の状況がわかったこと」「悩みを共有できたこと」「抽象理論ではなく実践をふまえた話題であったこと」「具体例に基づいて学ぶことができたこと」といった回答が得られた。さらに、ワークショップ参加による最大の収穫についてもたずねたところ、「他大学の取り組み/実践例/各先生の工夫を知ることが出来たこと」「"十字モデル"という具体的なツールについて学べたこと」「専門分野以外の分野での教育について知ることができたこと」「今後のカリキュラム再編に参考になった」というようにやはり事例を共有することが高く評価されているようであった。この中で具体的な問題点を共有できたことを評価する例として、「リサーチクエスチョンの明確化に多大な時間を要することを再確認できた」「グループワークが効果をもつ対象が結構あるものだと実感した」などという記述があげられる。

最後に、「今後に向けて改善したほうがいいと思われる点」をたずねたところ、グループワークに関する意見がいくつか寄せられた。時間がタイトであったこと、また、各自の持ち寄った事例紹介でグループワークがほとんど終わってしまったグループもあり、時間配分についてファシリテートする必要性などが指摘された。また、グループワークおよびグループ分けのテーマについて事前に知ることで準備ができるのではという指摘もあった。

◇今後の計画

ワークショップで参加者に持参していただいた資料のうち、許可をいただいたものについては、スキャンし、整理・分類した上で、協議会のウェブサイトにアップする予定である。  3年にわたる開催をふまえ、来年度も同じテーマでワークショップを継続するかどうかについては、現在、WG内で検討中である。今のところ、大テーマは変更せずに、下位テーマを設けて、テーマを深めていく可能性が高い。また、事後アンケートでは、複数の参加者から、本WGへの参加希望と関西FDパイロット校への参加希望が寄せられたが、これについても、今後のテーマや活動内容との関係をみながらWGで議論をおこなっているところである。

◇各グループのホワイトボード

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ワークショップの様子

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【主催】関西地区FD連絡協議会FD連携企画WG


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