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【活動報告】 講演会・ワークショップ「深いアクティブラーニングを創発させる学習評価とテクノロジー ―Learning Catalyticsを中心に―」(京都大学高等教育研究開発推進センター)(2013年10月10日(木)開催)

 

 

2013年10月10日(木)
京都大学高等教育研究開発推進センター

◇概要

 2013年10月10日の午後、キャンパスプラザ京都において、ハーバード大学のエリック・マズール教授をお招きし、「深いアクティブラーニングを創発させる学習評価とテクノロジー ―Learning Catalyticsを中心に―」と題する講演会・ワークショップを開催しました。Learning Catalyticsというのは、マズール教授グループによって開発されたクラウドベースの学習分析・評価システムのことです。クリッカー以外のデジタルツール(スマホ、タブレット端末、ノートパソコンなど)でもレスポンスシステムとして使用でき、多肢選択式以外の問題も出題・回答・回答分布表示が可能で、グループ編成のための情報をリアルタイムで教員にフィードバックできます。いわばクリッカーの進化形です(http://LCatalytics.com)。

 京大センターでは、昨年もマズール教授をお招きして、シンポジウムを開催したのですが、昨年は、大人数講義におけるクリッカーを使ったピア・インストラクションのお話でした。今年は、TBL/PBL(チームベース学習/プロジェクトベース学習)型の授業での試みを紹介していただきながら、Learning Catalyticsを使った授業と学習評価の方法について、ワークショップ形式で学びました。

 まず、マズール教授から、「学びにおけるイノベーションの促進―PBL、TBL、Learning Catalyticsを巡って―(Learning Assessment and Technology to Enhance Deep Active-Learning: Focusing on Learning Catalytics)」というタイトルで、2時間にわたり講演していただきました。参加者は、9~10人ずつ8つのテーブルに座り、自分のデジタルツールでLearning Catalyticsを体験しながらお話をうかがいました。例えば、オアフ島の航空写真を示されてオアフ島に吹く風の向きを考えるという問題がありました。クリッカーでは多肢選択式の問題に限定されてしまいますが、Learning Catalyticsだと、画面上に直接風向きを書き入れることができ、また参加者全体がどんな回答をしたかを一つの画面で示すこともできます。
マズール教授が今一番熱心に取り組んでおられるAP50という授業は、1回3時間の授業が週2回。3か月の間に、チームで3つのプロジェクトを行うというものです。授業中の光景や学生のノートも示しながら、いかに彼らがTBL/PBLの中で物理学を深くアクティブに学んでいるかを示してくださいました。

 講演終了後、休憩をはさんでパネルディスカッションを行いました。京大センターの飯吉透教授から"Reflections on Learning Assessment and Technology: Collective vs. Individual Ownership of Learning"、酒井博之准教授から「パーソナライズされた学びを支援する学習環境を考える―テクノロジーの面から―」というコメントがあり、それに対してマズール教授から応答がありました。特にハーバードが積極的に進め京大も参入しているMOOCsをめぐる議論は、とても聞き応えがありました(マズール教授は、大学教員は何よりも自分のキャンパスの学生に責任をもつべきであり、彼らに社会的経験をつませることが大切というお考えから、MOOCsにはあまり積極的ではないそうです)。その後、フロアもまじえて熱心な質疑応答がかわされました。

 最後に参加者の感想を紹介します。「Harvard大や京大の学生ではなく、大学で学ぶこと自体に何のモチベーションをもっていない大学生に対して、こうしたメソッドをどううまく使っていくのか、ということがとても難しい課題ではありますが、先入観をすてて試みにやってみようと思います。」「私は、アクティブラーニングを開発・運営する業務を担当している中、本日のフォーラムに参加したことで、気持ち面でも、運営面でもとても前向きに考えることができました。本当に感謝しております。」「生徒の頭のスイッチをONにする方法のヒントがたくさん聞けたと思います。もう一度整理して生かして行きたいと思います。」参加者は、学外56名、学内19名、計75名でした。

(文責:松下佳代)

 

 

【主催】京都大学高等教育研究開発推進センター
【協賛】河合塾教育研究開発本部、関西地区FD連絡協議会

 


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