活動 - 各種報告

FDに関する実態とニーズ調査(2007年6月15日~7月17日)

調査の背景

 関西地区FD連絡協議会が、試行的に立ち上げられたのは2007年1月であった。なぜ、このような協議会を立ち上げる必要があったのか、その最大の要因は、言うまでもなく、FD(Faculty Development)の義務化という法制化の動きである。

 法制化されるということは、高等教育の場合、設置基準に「義務条項」が盛り込まれると考えておけばよいのであるが、その結果、何が起こるかというと、大学評価の時代にあって、その設置基準が順守されているかが、第三の評価機関等によって、チェックされ、それに基づいて大学の評価が行われるということである。

 しかし、その際に、何がチェックされるかというと、往々にして、FD講演会の開催回数であるとか、それへの参加率とか、授業評価の全学的な実施といった、FDの定番として行われて来ている取り組みの表面的な確認に止まることが少なくない。そうなると、勢い、FDとは、講演会を開催することであるとか、授業評価を実施することであるといった、定型的なイベントや取り組みをさすかのように捉えられ、評価のために、それらの取り組みを行うといった、本末転倒が起きていくことになりかねない。それによって、本当に、設置基準が目指しているところの「教育の改善・向上」がもたらされるかどうかは、甚だ心許ないと言わざるを得ないであろう。

 では、実質的に、大学の教育を活性化するために必要とされるのはないかということになるが、これは、いわゆる「FDする」と言った言葉で代表されるような、研修会、講演会、授業評価などをすることだけではなく、基本的に、個々の教員や、学科なり、学部なりの教員集団、あるいは、教育を補佐する大学職員が、教育の推進のために、お互いに協力し合いつつ実際に動いて行く事が起こっていかないと得られるものではない。そして、そして、そのような日常的な実践が、常に省察されつつ、その時点時点でできることは何かを考え、それらを実践に取り入れていく試みを積み重ねていくといったことそのものが、むしろ、FDそのものであるといってよいであろう。その際に、いろいろな工夫の試みをお互いに交換し合う場が準備されることが重要であることは言うまでもなく、さまざまな大学の事情、多様な専門領域のあることなどを踏まえて、どのような部分で、そのような交流が可能になりうるのかという点について、情報を収集しておくことが肝要となるだろう。そこに、関西地区FD連絡協議会において、FDの実態とニーズにかかわる調査を実施する意義のひとつがある。

 もう一点、日常的なFDの積み重ねを、大学評価などの場面で認めてもらうということは、それが「講演会」とか「授業評価」の実施といった形だけにあらわれるものではないだけに、存外容易なことではないであろう。そこで、それをどのように表現していったらよいか、そして、そのような表現の仕方が、大学評価といった社会的な場で理解されるかどうか、といったことが問われていくことになる。すなわち、まずは日常的な活動をFDの一環として認めてもらうためには、そのような活動がまさにFDそのものであるということのコンセンサスを形成していく必要が出てくるということである。そこに、この種の協議会の役割の一つがあるわけで、コンセンサス形成に向けての戦略として、まずは、大学、あるいは、大学人のFDに関わる意識の現状をとらえるところから始める必要があるであろう。その点に、本調査のもう一つの意義を見ることができるのである。

調査の実施体制

 以上の背景の下で、関西地区FD連絡協議会では、京都大学高等教育研究開発推進センターに委託して、関西地区の大学・短期大学を対象として、FDの現状や、意識に関する現況把握、FDに関わるイベントのニーズ等について調査を実施することになった。

 調査は、まず、京都大学高等教育研究開発推進センターにおいて、大山泰宏がたたき台を作成し、それをセンターのスタッフ(大塚雄作・松下佳代・溝上慎一・酒井博之・林 創・中村夕衣・荻野紀代子)が点検し、修正を繰り返した。同時に、原案が完成した時点で、関西地区FD連絡協議会の中心的なメンバーである、田中毎実(京都大学高等教育研究開発推進センター長)、山田礼子教授(同志社大学)、矢野裕俊教授(大阪市立大学)らを中心にさらに点検を加え、その確認を踏まえたうえで完成されたものである(最終版はVer.7)。

 調査の送付先リスト、調査原票については、高等教育研究開発推進センターにおいて準備をし、調査の配布・集計・データ入力単純集計結果の出力に関しては業者(ジイズスタッフ)発注した。 

 素データに基づく、より上位の分析は、高等教育研究開発推進センターにおいて、本論の各執筆者(大塚雄作・大山泰宏、中村夕衣・田中優子)が担当した。

 また本務多忙のなかを、分厚い調査の回答に真摯に協力して下さった、各大学の担当の方には、ここに記して感謝の意を表しておきたい。

(報告書『関西地区FD連絡協議会設立に向けて』より抜粋)


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